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新しく建設されるマンションは 屋上に山があり その上に霊廟があるので 住人なら鬼籍に入ったとき誰でもその霊廟に祀られるということだった 墓参りは不要 清掃業者が毎日 掃除に来てくれる そもそも一人ずつに卒塔婆や墓標があるのではなく 大きな祠に骨を納められるのだから ある意味ではみな同じ墓に入るということになる 住民はみな同じ信仰の対象をもっているのだろうか 或いは自殺者もそこに入ることを許可されているのか 考えていたら目に入った謳い文句 望むものなら誰でも結構! 扉を叩くものだけが中に入れるのです
いつだったか 歩いていたら四ツ谷の地下納骨堂に辿り着いたことを思い出した どうしてそこへ行ったのか どのような道順で行き着いたのか まるでわからなかった そもそも隣にいたのが誰なのかも憶えていない ずっと手を繋いでいたはずなのに
マンションのチラシを古紙回収に出したところで目が覚めた 夜明だ
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もう清らかでなくなった関係において わたしはあのひとを愛し続けている そのことが誰にも知られませんように
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誰に聞いても好青年と云われるひとがいて わたしは彼に会ったことがないから 形而上の存在となった好青年である彼に憧れ続けている 本当に誰からも悪い評判を聞かなくて 彼を知るひとはただ「好青年だよ」という (時々文頭に 眼鏡の という外見的情報もつく) でも そんなひとって実在するんだろうか わたしはまだ 会ったことがないけれど
誰に聞いても 無頼漢と云われるひとがいて わたしは彼が好きだから
「彼のことが好きだから心配なの」という女に 男の店員は「わかるよ 君は彼が好きだものね」と相槌を打っていた わたしはキングサイズのミントチョコレート・アイスクリームをワッフルコーンで バディはレギュラーサイズのストロベリー・アイスクリームをカップ入りで注文した ひとくち交換しようと言ったら ミント味のチョコレートは嫌いだからいらないと断られたけど ひとくち味見させてくれた まだ少し寒かったので 食べ終わるころには唇が青くなったけど とても美味しかった