早朝 浅い眠りから起こされると顔も洗わないうちに 着の身着のままで 助手席に乗せられた だんだんと灯りが消えてゆく街を走り やがて空がはっきりと目醒めて 自らの色を思い出したころに 築地に到着し ふたりで拉麺をすすった 焼豚が山盛りになった豚骨拉麺を 無言で平らげて その後喫煙所で煙草をのんだ
泣きたかった
どうしようもなく ただ泣きたかった 何故かはわからない ゆうべ行為途中に噛まれた全身の彼方此方が痛んだけれど 痛みよりも離れるのが辛かった 別に誰でも良かったのではないかと言われると 自信がないとはいえ その時はどちらの境遇も割と悲惨で お互いに行くべき場所も 居場所もなかったし 失ったものが多すぎて 何から回収すれば良いのかすらわからなかった
結局未だに何も取り返せないでいる