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既にゲシュタルト崩壊した活字の海原で あなたの名前を探した きっと星印がついてあるはずと 祈りながら (いや 発表しなかったかもしれない 私はあなたが応募したかどうかも知らないのだから) ぱらぱらめくると 星も丸もない あなたの名前が そこにあった 何と寂しいのだろう その名前だけでも十分愛しいのだけど 私は床に座り込んで 少しだけ目頭が熱くなるのを感じた どうして どうしてあなたではないのかと


あなたのいる海へ 泳いでゆきたい オリーブが金色の葉を揺らす島を抜けて あなたのいる海で 溺れてしまいたい 砂浜に打ち上げられるのが 鯨でも 海豚でもなく 網に絡まり腐敗した私の肉体だったとしても あなたの海は 穏やかであれ