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まだ16か17だった頃 旅先で友人たちと夜の街で踊ったかえり 市電に乗っていたら 酔いどれが 公園の花壇に咲いたような雛菊を摘んだ 小さな花束をくれた 酒気おびて 頬を赤く染めた 太っちょの男たちは この国がまだ自由ではなかった頃に青春時代を送った年頃で 私たちには共通の言語も無かったから 彼らの母国語で御礼を言うと とても楽しそうに笑って 頭を撫でてくれた

明くる朝 私はそれを酒瓶に生けて 宿を出たのだった 桜桃の蒸留酒だった
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