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机のうえでは彼女が昨夜生けた芍薬の花が咲いていた 一輪挿しからすっくと開いた八重咲きの花だ 僕は寝台の端に腰を下ろして煙草に火をつけた 彼女はまだ眠っている 胸を穏やかに上下させながら静かに呼吸をしている 朝の光が差し込む磨り硝子の窓を開けると青草の匂いが風にのって運ばれてきた もう殆ど夏だ
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