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青々とした海に 呑まれないように 踵と爪先を精いっぱい 地面に付けて あなたにしがみついている 8月の夜には 死んだひとがたくさん 帰ってくる 入り江の灯台には 一晩だけ 灯りがつく あなたが迷わないで 帰れるように 暗い波を煌めかせ  死んでいたのは私だったかもしれない あなたの心臓の音だけが 意識のそこで 打ち鳴らされ ひとりきりになって 私は どの舟に乗ればいい 

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