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不眠症で眠れないあなたと同じだけ きっかり3時間の闇を暖めてくれた やさしさ ふくよかな白い手のことを 今でも思い出せるのに もうあの部屋には誰もいない おかっぱのあの子も 背の高い男の子も 消えてしまった 割れた酒盃のかたちを いずれ忘れてしまうのだろう 出来るだけ長く 憶えていられたら佳いと思う