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い草の香る畳の上で 波の打ち付ける岩場で 廃業した売店の机の下で 葛が覆う茂みの奥で 硝子窓の割れた温室のなかで 胸に短刀をひと突きされた わたしが死んでいる 海岸の白い砂は 血に染まるが やがてまた 洗われてゆき 港の灯台だけが 朱くそびえ立ち続けるだろう

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