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出来の悪いのろまな子だった しかし「子は無条件に愛すべし」という信奉の家庭に生まれたので 愛されて育った 幼少期は幸福そのものであり 彼女の微笑みは 天使に喩えられ (ほんとうは潰れた南瓜に似ていた)  彼女もまた そうであるのだと思いながら 成長し ある時 学校の湿気った便所の鏡に 偶然 友人と並んで映った姿を見て 初めて己の醜さに気づき また彼女を美しいと感じ 同時に酷く妬んだ
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