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臙脂色の革で作られた伊太利亜製の鞄は 金色の鎖がつき とても愛らしかった うっとりと眺めていたら 年配の女店員が 棚からおろしてくれたので 勧められるがままに手に取り 金属製の留め具を外すと 中は真っ赤な絹のように滑らかな生地が張られており こじんまりとした大きさでありながら 長財布や手鏡 口紅を入れるのに最適な形状であるのがわかった 肩からかけて 鏡に向かい 絨毯のうえを行ったり来たりしたが 結局 白い手袋をつけた店員に返して店を出た とても素敵な鞄だった

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