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ダイヤルを回していた指先が 液晶画面のうえで震えている21世紀 出さない手紙はポストに舞い戻ることなく 部屋の隅で埃をかぶるだけ 木枯しにかかわる時候の挨拶がもう何回巡ったかわからない 日焼けした封筒

 
神さま あなたの電話番号も住所も知らないけれど 12月の凍天を駆けてゆくのは 決して姿を見せないわたしだけの救世主で きっと大酒飲みのヘビースモーカー すべての男の子の唇からミントが生え出すような 孤独な夜 クリスマスツリーはもう片付けてしまった 樅の木を囲んで踊らないなんて 神さま 蒸発したあの人が 何処かで暖かく過ごしていますように