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深夜 コートを着込んで 雨に濡れた細い道をゆき 神社へ詣で すれ違う人々と 年始の挨拶を交わした 閑静な住宅街は暗く 流れる小川の音が激しい
鳥居をくぐると 参道脇では火が焚かれていた 赤い炎がぱちぱちと音を立て美しい 

お詣りを済ませ 拝殿のところで蜜柑とお神酒を頂いた 寒さで冷えていたが 甘く 鼻に残る日本酒の香りがとても美味しく 胸のあたりが暖かくなった そして何年か前にも このように凍える神社にて 味わったことを思い出した