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青果売場を歩けば 蕗の薹に うるい 菜の花 きちんとラップされ トレイに並べられている そう おまえ 山形から来たのね きれいな若草色をしてる 店員は春キャベツに値札をつけながら  おい それは出会いもんやから 離らかしたらあかん ・ なんですか出会いもんて ・ それと これな 一緒に炊いたりな 料理するのに合うやろ ・はぁ ・ そういうのを 出会いもんゆうんや ・そーなんすか 知りませんでしたわ・ おお 僕もこないだ教えてもろたんやわ ・ おもしろいですねぇ と喋っていたのだけれど わたしは 土がついたままのお芋さんに 気を取られて 何が出会っていたのか わからないまま


ひりひりとした心の痛みは 春風のつめたさに似ている