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花を片手に 友人のもとを訪れた

それから 初めてゆくパン屋で クロワッサンを買ったのち 喫茶店で砂糖とミルクを入れた珈琲をいただいた 沢山の人が飲食や会話を楽しんでいるが 左右の席は知らないひとが座っているので つまり ひとりカウンター席で煙草をのみながら安息日の午後を過ごしていた 眼を閉じていると シンクに水が流れる音や 食器が重なる音 鍋の中でお湯が沸き立つ音 給仕の足音 新聞がめくられる乾いた紙の音 などが 珈琲の香りと共に 店中に溢れていること それから 音楽が流されていないことに気づいた

帰り道 田畑の土がぬかるみ あちこちに 緑が芽吹きはじめていることにも
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