夢だったんだ
「ブーケガルニとクスクスを買ったから 今夜はパリジェンヌになれるね」なんて「茹でてから 薄紅色のサーモンと なにか新鮮な柑橘類を一緒に混ぜて あとブラックオリーブとか ケーパーも入れるの なんだかよくわかんないんだけど すっごく美味しい 時々食べてたの あっちに居た時に」彼女はマッシュルームを品定めしながら笑う わたしはそれをとても愛しいと思う 彼女は薬罐のお湯だって沸かすことが出来ない 厳密に言えば 台所にある あらゆる種類のスイッチを押すこと 扉を開けることを禁じられているのだった
揺らぐ炎を眺めながら あなたの指先が溶けてゆくのを感じる
ねぇ そういう 夢だったんだ