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きみの唇は比喩ではなく 事実甘くて それは 口付ける直前に飲んだ 甘い水のせいだった


ファースト・キスに憧れていた まだ幼かった頃 それが檸檬の味だなんて 誰が言ったのだろう 唾液は舌の上をどこまでも生温く滑り 大抵はアルコールの味がしたことは 悲しいことなのかもしれない


朝 鏡の前でわたしは 君の薄い唇のことを思い出しながら 化粧をする 甘い香りのリップグロスは無色透明で 嘗めても味なんかしないけれど 塗るとほんのりと 色づき始める まるで つよく抱きしめられて 上気した頬のように 薄紅色の魔法を かける


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