2016-05-05 446 Fiktion 約束などしていないのに 貞淑である必要もないのに花が枯れてゆくのは寂しい ベランダから 屋根のうえを這うように伸びる薔薇を眺め 塔のなかの乙女のはなしを想い出す ここには誰も来ないから なにも恐れなくていい きみがソファに寝転がっていたことなど ありえない 誰もここには来ていないから そういうことに なっているのだから