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午睡から醒めると 絨毯が珈琲を飲み干していたので 代わりに水を飲んだ 気怠さのなか 漂白剤を振り掛けると たちまち白い斑点が浮かび上がり どうにも周りより色が明るい つまり絨毯自体がすっかり古くなっていたのだった それで気が滅入り 途中で投げ出してしまったのだが 実はこれまでも不注意で他にも染みを何箇所か作っている 絵の具や墨の跡もあるが 幸い血の痕はない 部屋の真ん中あたりに 珈琲で出来た 新しい大きな染みだけが目立っている あんまり哀しいので 寝ている間に 妖精が珈琲をこぼしたということにしている