472

もっとも深い色味のなかへ 沈んでゆく あるいは溺れている 音のない世界

幼い頃にみた 金属の彫像が並ぶ高原は それから長いこと 不可解な記憶として残った 静かにしなければならない美術館は大嫌いだった 野山を駈け回りたい子供にとって シュールレアリスムは退屈そのもので わたしは口を閉ざす間じゅう 見えない友達と 聞こえない会話をするようになった まだ20世紀だった