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紅い布がかかった窓から差し込む陽射しが 部屋のなかに血だまりのような色を落とし むかしなにかで読んだ 市街戦に巻き込まれて死んだ記者の話を思い出した 運が悪かったのだ その日は偶然 頭と足をふだんと逆に寝ていて 窓から入った流れ弾が頭蓋骨を粉々に撃ち抜いてしまったということだった 軋む寝台のうえで仰向けになったまま 何もすることがない テレビもラジオもない 元より言葉がわからないから どうしようもないのだった

 

夕方 男と屋台へ食事に行き 米粉でつくられた麺と よくわからない甘ったるい緑の液体を飲んだ アマガエルを食べたことはないけれど 擂り潰して砂糖水で割ったらそのような色になるのではないだろうかと思わせるような鮮やかな緑色をしていた でもそれはあくまでも見た目の問題なのだ 黄色い肌のわたしも 白い肌の彼も 撃てば同じ赤い血が吹きだす カエルを潰したら 何色になるだろう でもきっと緑ではないと思う

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