2016-06-12 484 Fiktion 汗のぬめりに あなたの皮膚を思い出す しなやかな筋肉をつつむ 乾いた肌が 動きによって だんだんと湿ってゆく 愛しさ ずっとこうしていたいねと 囁いたことを憶えてはいないだろう わたしがそれに 応えなかったこともあなたの長い巻き毛が好きだった 抱きあうと頬に触れる 柔らかな黒い髪が とてもやさしかった ずっと繋がっていられたら 髪を結び合って心中すれば 神話になれたのだろうか