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幽霊と性交したことがある

 

人間ではないなにか 魑魅魍魎の類と ことに及ぶというのは 古今東西で語られていることを思うに 決して珍しいことではないのだろう 動物だけでなく 植物の精とでも孕むというのだから なかなかロマンティックではある 初めて霊的な存在と接触したのは生娘のころだったと思うが 不安も恐怖もなく むしろ高熱にうなされる我が身を 護りにきてくれたようだった 真っ暗な部屋で寝ていたのに 太陽のように眩しかったのだ
 
 
不思議な夢もみた 或いはすべて夢であろう
明け方の布団に忍びこんだ 姿なきなにか それが誰であるか わたしはわかっていた 伝承によれば 幽霊と性交するのは生気を奪われてよくないらしいが 彼は早漏だった
 
白昼社アンソロジー『オートカクテル 2015』収録の『夏至祭』は その時の体験を基に書いた掌編である
 

 

文藝誌オートカクテル2015 耽美 (白昼社文藝誌オートカクテル)

文藝誌オートカクテル2015 耽美 (白昼社文藝誌オートカクテル)

  • 作者: 伊藤なむあひ,にゃんしー,赤木杏,ひのはらみめい(そにっくなーす),山本清風,牟礼鯨,霜月ミツカ,恣意セシル,ちょまっこりーな,馬場めぐみ,水銀,eb,泉由良,なかの真実
  • 出版社/メーカー: 白昼社
  • 発売日: 2015/10/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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耽美が好きな方にはぜひ 手にとって頂きたい一冊なので よろしくお願いします
 
 
本日は夏至 梅雨空の下ではしかし 夜が早いのだった