505

どの夜も 同じ色ではなくて 美しさを増してゆくのか 褪せていってしまうのか いつかの夏に 愛したひとの髪も伸びて もう すっかり変わってしまったのだろう 抱きしめたときに頬に擦れる 長い巻き毛が好きだった ふわふわと柔らかく 愛しかった 唇も 髭も 薄い目蓋も なにもかも あの夜 果たせなかった約束の日を わたしは未だに思い出す まるで命日がくるように