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時間を戻したいと思ったことがないのは つまり何処まで戻れば良いかわからないからで あるいは生まれて来なければ良かったのかもしれない けれども それでは 愛しいあなたと 同じ時代 同じ世界で 過ごせないということ
それは確かに 何もないことよりも 辛く悲しいことだ この胸の苦しさ 彼女とは 友人関係以上には決してなれないこと わたしは その事実を認めてなお 立ち眩むような花の香に包まれ 満ち足りた気分でいる