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まだあどけなさが残る 少女の耳に揺れる紫檀色のタッセルピアス 短いワンピースから伸びる陽に灼けたほっそりした手足は成熟をまだ知らない しかし サヴァンナを駆ける草食動物のような しなやかさがあり 美しい未来への可能性をたっぷりとはらんでいる わたしにもかつては そのような日々があったのだろうか 一緒に野山を走り回っていた男の子たちは 何処へ行ったのだろう 大暑 サマーキャンプの記憶 わたしは未だに好きな男の子の名前を 苗字でしか呼ぶことが出来ない もうとうに少女なんて齢ではないのにね