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ヴォトカ流れる河のほとりで

Das Tagebuch der Lily Mercury

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またひとり 行方をくらませてしまった

会えないなら 生きていても 死んでいても 同じだというなら 弔いに線香の一本でも 供えるべきなのだろうか いや失踪者が幾ら死と隣り合わせているとしても 認め難いことだ わたしはただ 彼の無事を祈ことしか出来ない 今後一生関わることがないとしても

蒸発
ある地点までゆけば すっと消えてしまうことが出来たなら 何の苦痛もなく 大気へ溶け込むことが出来たなら
それでものこされた人の 記憶から立ち去ることはなく いなくなったという事実だけが 細い棘のように突き刺さり 抜けることもなく 痛み続ける 死とはまったく別のものだ
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