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ヴォトカ流れる河のほとりで

Das Tagebuch der Lily Mercury

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酷い頭痛でしたよ ほんとうに 身体がいうことをきかないんです 起き上がるなんてとてもとても 腕を上げることだってままならない 仕方ないから布団のなかでじいっとしてました 熱はないもんでしたが 頭がずうっと殴られてるみたいに痛むんで 眠るのもつらかった いやぁ ほんとうに酷い目に遭いましたよ

 
 
わたしは何処か暑い国に来ていて 橋の上から大きな河を眺めている 茶色く濁った水が 川縁に青々と茂る大きな葉の植物の間を緩やかに流れ 時折渡し舟が 緑溢れる河岸から赤茶けた砂地の河岸へと行き来をしていた 屋形船のような 木製の白い小舟であり 船頭はちょいちょいと櫂で漕ぐだけで すうっと進んで行く 南国によく生えている椰子か蘇鉄のような 背の高い木々の隙間を夕陽が溶けるように落ちてゆくので 欄干に寄りかかって見惚れていたら 足元で脱いだり 履いたりして弄っていた履きものを下へ落としてしまった 白いサンダルは ぷかぷかと濁流に浮かんだまま 流されていってしまった 川縁の草叢に引っかかっているそれを なんとかして取りに行けなくもなかったが 小舟に乗り 船頭に頼むのも億劫だったので 諦めて裸足で汽車に乗った 橋の上がちょうど停車場だったらしい 橋桁も床版も河原の石と同じように赤茶けており 歩くとざらざらしていたので 鉄錆がついていたのだろう 汽車は木製の床でありひんやりとしていた 夢はそこで終わっている
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