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ヴォトカ流れる河のほとりで

Das Tagebuch der Lily Mercury

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磨り減って 消耗した日々が 除草剤が撒かれた河川敷の枯れ草のなかに散乱している 嵐がきて河が増水するたびに 少しずつ押し流されてゆくのは からからに乾いてひび割れた欠片が存外重たいからだ 何度目かの嵐のあとで わたしはそこで金色に光る小さな釦を拾った 見覚えは少しも無かったし もちろんわたしが失ったものではなかったが とても気に入ったので持って帰って 上着の釦が外れたところへつけると ちょうどいい塩梅で 初めから付いていたかのようにさえ見えた いつかわたしが死んだとき すべてが流されていったあとで 残った釦を誰かが見つけて気に入ったらいいと思う

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