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ヴォトカ流れる河のほとりで

Das Tagebuch der Lily Mercury

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飛行機の座席の背面にある液晶画面 または客室の前方にある大型スクリーンに時折映し出される現在地情報というのか 地図の上をとぶ飛行機の印を追うのが好きだ とはいえ ユーラシア大陸上空を飛ぶことばかりだったので 太平洋の方へ飛んだのは10年以上前で 恐らく2回しかない あの頃 まだ子供だったので 海の上なのに日付変更線には電気が点々とついていると誰かが言いだし アリューシャン列島のあたりを越えるときは しきりに窓の外を眺めてわくわくしたものだった

液晶画面に映る地図の ウランバートル ミンスク トビリシ といった都市名から 町を探そうと 眼をこらしても見えることはなく ちいさな窓の向こうに見えるのは 灰色の大地と 黒い湖や河 それから雲 夜のシェードを降ろしたならば 森のなかで暮らす人々のことや 氷のしたで眠る人々のことを想う わたしはまだ どの街も歩いたことがない


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