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ヴォトカ流れる河のほとりで

Das Tagebuch der Lily Mercury

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この街にはいくつかの百貨店があって それぞれに特色が見られるので 例えば少しカジュアルなワンピースが欲しければ Tが色々揃っているし 贈り物を選ぶならIが間違いないし 素敵な靴を探しているなら断然Dが良い 流行の品と定番の品 どちらもフロアいっぱいに数多く揃えられているから 迷って決められないほどだけど 脚に合う靴を手に入れるのは 本当に難しいことなのだ まずは見た目 色形が気にいるもの しっかりとした縫製であり 素材も良いもの 質の悪い靴ほど惨めなものはない それから試し履き 爪先が痛むとか 歩くたびに脱げるとか 踵から喧しい音がするとかいうことがなく ヒールを履いて尚 それが自らの脚の一部であるかのようにフィットしたなら最高 何処までも歩いて行きたくなるし 事実かなり歩いてしまい しばしば踵を修理にだすはめになるのだが とても良い職人を知って以来 然程困ることはなくなった

しかし そういった靴と出会うのは 至難の技であり また 楽しいことである 美しい靴を愛でるだけでなく 履いて街を歩くことの幸福感ときたら この時ばかりは女であることに優越を感じる
 
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