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ほんとうに知りたいことは 教えてもらえるけれど 何をほんとうに知るべきかは 誰も教えてくれない 例えば記号 名前や年齢 職業 肩書 それらは単純かつ明快に開示された情報であり 誰にでも公平に知り得ることが可能 登録された戸籍謄本を基に わたしという人間が いま ここに生きている事実が明らかにされる けれども思想は 意思は叶わない 幾ら言葉を書き連ねても真実かどうかは わたし以外の誰にも知られない

だからなんだっていうの

愛する人と 共に愛し合い 生活を営み 子供を育て 幸せに生きる方法 わたしが知りたいのはその術だけだった 言葉なんかもう要らない 唇は口付けのためだけにあればいい あなたの幻 それが何であるかなど知らなくっていい わたし自身が何者であるかなど些細なことなのだ
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