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パン屋の広告に仏蘭西から直輸入したクロワッサンだとあるので どうやってぱりぱりの皮が壊れないで届けられるのかと尋ねたら 焼くのは届いてからですと言われたのでなるほどと思った雨の午後


食事に対して 大して関心がなかったころ わたしは食べることが面倒だった 何を食べたって味なんかわからなかったから 空腹が満たされたら充分だったのが いつからか変わって 食べるなら美味しいものが良いと思うようになった それは 生きることを決めてからだったかもしれない 新鮮なレタスや ハムの白い脂身 みずみずしいトマト そしてクロワッサン それらを端からゆっくり食んでゆくのは とても幸せなひとときだ 通りを歩く人々のさす色とりどりの傘 レインコートを着た学童の行列 傘を持たないわたしは 雨が通り過ぎるのを待った それほど長くはかからなかった

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