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花と水 蝋燭と香炉 そこは浄土なのですと 僧侶は言った わたしは神を信じない いや 信じている 何を?存在を! あらゆるところにその息吹をわたしは感じることが出来る 朝の光のなかに 草木を濡らす雨粒のなかに 燃える焔のなかに 肌を刺す木枯らしのなかに 泣き喚く赤子のなかに

救いは抽斗に入っていない 冷蔵庫にも 留守番電話のメッセージにもない もしもあったとしたなら それは幸運であり 救いではない

かつて ちいさな宇宙を わたしの先祖たちは家の奥に創り上げた それらを今も大切に奉っている 今では話されなくなった言葉を用いて わたしたち一族は祈りを捧げ続けている 絶えることなき生命 誰も知らない永遠の場所 浄福な世界 
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