Subscribed unsubscribe Subscribe Subscribe

ヴォトカ流れる河のほとりで

Das Tagebuch der Lily Mercury

654

血の滴るようなステーキが好きだ

赤身の牛肉を ソースや塩胡椒ではなく 生山葵と醤油で頂くのが良い その食べかたを覚えたのは むかし 松本に行ったときだった あちらの生山葵はわたしの住む辺りだとあまり手に入らない 故郷の山村でも近年は栽培されているという話だが それはもっと手に入れにくいのだった 山葵といえば かもわさも好きだが これを食べるたびに思い出す夜のことがあり 鼻にツンとくる香りや 色鮮やかな茄子や胡瓜のお漬け物のことまでよみがえってくる 彼の腕は白く細かったけれど しなやかで 確かに 男の腕だった
 
 
Remove all ads