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ヤドリギの下で口付けを交わした恋人たちは永遠の愛で結ばれるというけれど わたしたちがそれを見つけたとき ほんとうに どうしたらいいのかわからなかった 薄暗い空間のなかで こどもたちが木の床を走り回る その天井から吊るされたヤドリギ 彼女はヤドリギを見たことがなかった わたしは背伸びして指先で示しながら これがそうと言った 作り物だけど と続けて なんだか胸が苦しくなった

口付けたかった 彼女の唇に 触れたかった 伝説のように ずっと一緒にいられたら なんて素敵なんだろうと わたしは彼女と眼を合わせながら口付けを交わすことを願ったが しかし出来なかった 彼女には恋人がいるし わたしにも恋人がいる それがたとえ形式的な関係であったとしても また 彼女もわたし同様に望んでいたとしても 叶えられぬことだから
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