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この冬一番の冷え込みになるでしょうと言われた朝にユメちゃんは死んだ 15歳だった ずっと眠ってばかりで そのまま冷たくなってしまった夢の先に天国 向かいの家のおばさんは泣きながら亡骸を抱きかかえて森のほうへ歩いてゆき 夕方 雪が降ってきたころ 森林警備隊の同伴のもと帰って来て 葬儀屋に電話をしていた 「最近は勝手に埋めると怒られちゃうのね」「昔だって駄目だったよ」 とても寒いのにおばさんは額に汗をかいていた よほど歩きまわったのだろう 泥のついたスコップは未だに納屋のまえに置きっ放しにされている

半月後 おばさんは新しい仔犬を抱きかかえて川べりを散歩をしていた 「どうして自分で歩かせないの」 「だって可哀想じゃない 裸足で…」 ねぇユメちゃん と おばさんはまだ小さい赤ちゃん犬に頬ずりをした わたしは新しい仔犬が 一生 もしくは おばさんが死ぬまで生きていたらいいのにと思った 或いは今ここで夢の続きは

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