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霧のなかを歩いている とても濃い 生温い霧だ 森の草木は濡れ 靴の中も少しずつ湿り気を帯び始めている しかし歩みを止めることは出来ない たとえ後ろに虎が潜んでいないことが確かであっても 休んでいる暇はないのだ 急がなければならない 陽が登ればじきにこの霧は消えてしまう 身体が消えることも 灰になることもないがしかし 白日にさらけ出されることが怖い わたしは呪う 己の醜い姿を いっそ光で消えてしまえたら楽なのに

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