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「神さまの前で跪き告白する 懺悔する 祈祷する あの人が呼ぶ名前だけが真実で 愛が信仰のすべてだとしたら 何にもまして浄福なことはないのに わたしはいまだにヴォトカ流れる河のほとりで 対岸に消えたひとの面影を追い続けている

 
河の水が乾いて その姿が失われているとしたなら どの岸辺であなたを待てばいい」
 
 
 
日記はしかし終わってはいない
血は流れ続けているのだ 脈々とこの身体のなかを熱く巡り わたしは呼吸する 冷たい針葉樹林の山の端から陽が昇る 星が消え 何処かで夜が始まる 命が生まれ いずれまた還ってゆくように