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目覚ましを止めて うつ伏せになり 膝をついたら背骨を伸ばし 肩をならす そのまま手をつき おでこを枕につけ 両足をゆっくり上げる 脚を揃えてまっすぐに そのまま60数える Une, deux, trois, quatre, cinq...

... soixante. 足をゆっくりおろして 毛布から抜け出す 寝間着を脱ぎ 下着をつけ 香水をふきかける 常に意識を持ち続けるために わたし自身の眼を醒ますために

 

窓を開ければ春の匂いと日差し 通りに雪が残っているのに 梅の蕾はちゃんと綻んでいる

わたしは満月に導かれ 日曜日の夜に生まれたことを嬉しく思っている とてもよく晴れた日だったと死んだ祖父が話してくれたものだった