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ヴォトカ流れる河のほとりで

Das Tagebuch der Lily Mercury

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快速電車に乗ると 既に三人組の少年がボックス席に座り 菓子パンとコーラを食べながら楽しそうに話をしている おそらくまだ中学校の卒業式を終えたばかりの年頃だろう わたしは彼らと同じボックス席の通路側に座った ひとりが窓側へ詰めて座ってくれたからだ

恐らく彼らは朝一番の列車で かなり東の方から来たのだろう 言葉のイントネーションが標準語のようでいて微妙に違う それはわたしにとって 好ましい発音だった 声変わりというのが何歳頃 の間にあるのか知らないが 彼らはまだ明らかにとても若かった 若く見えるのではなく 話し方や振舞いもほんとうに若かった 三人組のうち ひとりは窓から見える景色すべてを口にして説明しなければ気が済まないのか 延々としゃべり続け 二人はそれに相槌を打ったり 景色ではなく自分の家族の話なんかをしていた 学校やガールフレンドの話は誰もしなかった 本当にいなかったからかもしれないけれど なんとなく三人組の旅行中においては自然なことだと感じられた

 

水色の切符を握りしめた彼らが 恐らくそれほどお金も持たず 春休みに三人だけで旅を楽しんでいるのは実に素晴らしいことだ 旅というよりもそれは冒険なのだと思う 彼らの冒険が佳き想い出になり いつの日か鮮やかに蘇らんことを!

 

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