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『弱さを楯に嘘で固めた要塞に暮す生活はどうだい 僕にはもう身体以外何もないのだけれど 季節さえ良ければ悪くはないものだよ 太陽と共に生きていくということは ある意味では君らの大好きな自然豊かな生活というものだし 夜になれば好きなだけ流れ星を探すことだって出来る 轟々と流れる渓流を眺めるとき 君のことを思い出すよ いつまでも美しく 激しくあれ』

 

襲撃のとき彼は既に脱走していた 敵の金平党党員たちが熱した水飴爆弾を爆発させまくったので 我々は大怪我をし 仲間の多くはそのまま水飴と共に冷たくなって死んだ わたしは脱営し逃走した彼を恨んだ しかし無事であることを内心嬉しく思った 銀紙に書かれた手紙は溶けたチョコレートで汚れている 夏はもうすぐそこだ