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胸にちいさな金属を埋めている チタン製の土台についているのは金色の縁で囲まれた透明のガラスだが 光があたると金剛石のようにきらりと輝く

 

孔をあけて一番最初に見せたのは 一番好きなひとだった 会って一番に耳を確認して なにもついていないことに気づくと 不審そうに何処に開けたのと言ったので 内心わくわくしながらシャツについた一番上のボタンをはずして見せると まだ血がにじんでいたので彼は怯んだ表情を見せた 彼は血を見るのが一番苦手だったから

 

 

ハニーがわたしの胸を見ながら あんたの身体の何処にも穴が貫通していないのは不思議だわ と言ったので 痛いの駄目なんだ と答えた タトゥーも入ってない と彼女はわたしの全身をまじまじと眺めながらライムサワーを飲んだ くし形に切られた緑色の果実がシャンパンゴールドの炭酸水中で氷に押されながら揺れている 仰向けのままタオルケットを引き寄せ まだ入れたい絵が浮かばないから と言った それは本当にそう

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