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深夜 窓を閉ざしたはずの部屋に蝙蝠 換気扇の隙間が怪しい それ以外はどこにも穴なんてない

羽音で眼が覚めて夢うつつのまま身体を起こした 爪でなにかをひっかくような音 旋回する羽音 ちいさな衝撃音 渋々起き上がり 灯りをつけて窓を開けると ほどなくしてちいさな黒い翼をもつ哺乳類は丑三つ時の闇へ消えていった

 

 

静かさを取り戻した部屋の中で聞こえてくるのはちいさな羽音だ わたしの身体のうえを旋回しながらゆっくりと降りてくるちいさな哺乳類 聞こえないはずの声 受け入れなければならない 何を? どのようなかたちであれ愛さねばならない 誰を? わかっている わたしは脚を開いてあなたを迎え入れる 望もうと望むまいとも

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