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鳴り続けるアラームを誰も止めない 部屋のなかには行ったりきたりする白い服の女と 入れ替わり立ち替わりする知らない顔の連続で 木々の間で輝いていた光は知らぬ間に消えてゆく 夜は薄い麻の帳のように落ちて 窓ガラスに反射した蛍光灯がやけに白く映っている 開くことのない扉の向こうに広がる芝生は月明かりで蒼いけれど 照らしている月は見えない そちらの方向に窓はないから

 

風の音が聞こえない アラームの音だけが鳴り続けている 土の温度も 雨の冷たさも クチナシの花の香りも思い出せない 紫外線と熱を遮断した窓ガラス越しの太陽はそれでも眩しいというのに

 

 

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