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ちいさな石が好きで幼いころはよく拾ったものだった 家の前栽にまかれた那智黒や御影石まで拾ってポケットに入れて叱られたのだ

 

 

N君という寺の息子としばしば一緒に学校から歩いて帰っていた 本当はK君が一番の仲良しだったのに なぜか彼と遊びながら帰ったときのことのほうがよく覚えている 森で見つけた木の実の甘さや 近道と言って走り抜けたお屋敷の庭だとか 川で捕まえたざりがにの力強さとかをよく覚えていて それからこっそり教えてくれた 綺麗な石が拾える空き地のことも

サーモンピンクの石というよりも 鮭の切り身が化石になったようなもので 誰が捨てていったのか 空き地の片隅に山積みになっていたそれを ひとつずつ並べたり 重ねたり 地面に線をひいたりして遊んだ その中でも特に綺麗な模様の石を集めて 選んでポケットへ入れて帰ったのだけど 何処へやってしまったのだろう 桃色に土留色の筋が入った艶やかな石片 ちょうどこんな色だった

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