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ニルゲンドヴォへゆく 雨はまだ降らない

 

覆い茂る草木を男は鎌でばさばさと刈り取り わたしはそのあとを 地面になぎ倒された枯草とまだ青い草のうえを 踏み締めるように歩き 河辺へ向かった 乾いた枯葉は去年の夏の蒼さだった せせらぎを流れる雪どけは色彩を失った季節の涙であっただろうか 対岸には赤い花が咲いている 風が吹くたびに揺れて その薄い花弁が噴き出す血のように飛ぶので わたしは鎌で腕を切りその赤さが等しい色であることを確かめた

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