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近くで見たあのひとの眼が 細い二重瞼だったのを初めて知った もう会えなくても また何処かで会っても どちらでもいいね 友達じゃないし 兄妹でもないけど 少しだけ特別だった なにが ということもないけれど 少しだけわたしの神様と似ていて でも全然ちがって 大きな掌は温かだった 知らない国で もう一生会うこともないひとと交わすような握手 それは儀礼よりも親密で 印象深い行為 または恋に似ている