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長いエスカレーターをくだりながら 彼の頬に唇をつけると 日焼けした肌に口紅のあと ザマアミロなんて思わない そんなことをしても仕方ないから ごめんねと笑いながらハンカチで拭った

ジムノペディの旋律がふいに流れて もういない人 永遠に不在である青年の姿が浮かんだ わたしたちは海へ行くべきだった 骨になるまえに そうするべきだったと思う

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