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満月が近づいている 光が明るさを増すたびに眠気は酷くなり 温かな泥濘にはまるように眠気は激しくなる それは春の湿地帯で まだ虫はいない 花の香りはほんの少しだけ漂うような世界 誰も知らない場所に

 

初潮のあったときのことをわたしはよく憶えていて それは喜びではなく 屈辱であった 馬鹿な子供であったために 下着を汚したその赤黒い大量の血液が何を意味するかわからなかったのだ このことは仕事から帰宅した母を大いに失望させた わたしは下腹部の痛みと 身体の変化に対する恐怖に泣いた 自分の身体が女であることを思い知らされたのだ 10歳のとき というのが 早かったのか遅かったのかわからないけれど 教育は済まされていたはずだった 適切であったかどうかは別にして

泣きながら洗面所を占領していた私を引っ張り出した母は うんざりした顔で生理用品の使い方を伝え 下着の洗い方 血液が落ちなくなるから水を使うことや どの漂白剤に漬けるかを指導した 赤飯は次の日の夕餉の食卓に並んだ

未だに赤飯を見るたびにその夜のことが思い出される そしてその苦痛は未だに続いているのだった

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