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あなたの姿をまた忘れてしまいそうです 少し曲がった背筋や 細く伸びた長い手足 物憂げでいつもなにかを窺うような眼差しで話すあなたの貌を忘れてしまいそうなのです あのひとの眼はあなたに似ている そのことをわたしは絶対に話さない 同じ身長 同じ体型 同じ黒髪の巻き毛 囁くように話すところまで瓜二つの まったくの赤の他人を わたしは奪おうとして でも 出来なかった あなたはあなたである そのことはなにも苦しませはしなかったけれど あなたの姿を忘れてしまうのではないかということだけが恐ろしく 孤独であるのです 世界の果てで愛しているのが ほんとうは誰であるのかを 既に


わたしは